平成21年6月定例会
野村まこと(眞実)の一般質問と答弁の全文です。
前文
野村まこと(眞実) 4期目のスタートを切らせていただいてから2年がたとうとしております。折り返し点を迎えた定例会での,最後の登壇となりました。この代表質問,一般質問を議員の皆さんがそれぞれ真剣に市民の立場で質問されているのに,答弁がかみ合っていないことを見て,改めて議会の必要性,こういうことを認識しているところであります。残り2年は,今までに経験のない都市建設委員会に所属することができました。市政運営の総合力をつけるための2年として,また100年に一度の経済危機を迎えての大きな変革の嵐が吹き荒れることになろうと思われる時代でありますので,市民の目線で,逃れることなく,しっかりと使命を全うしていくことをここにお誓い申し上げまして,平成21年第2回定例会に当たりまして,ただいまから質問をいたします。
質問
野村まこと(眞実) ◆ 17番(野村眞実君) 私は,葵政友会の野村眞実でございます。最初は,男女平等参画行政の推進についての質問であります。来る7月5日に,第5回北関東市民(男女平等)参画会議が水戸で開催されますが,これは昨年が栃木,一昨年が群馬,2006年は水戸というぐあいに,3県の県都が持ち回りをして開催しているもので,男女平等参画についての施策の推進状況の確認をしながら話し合う場として意義ある会議と認識しており,2006年に続いて,私も本年参加しようと考えているところでございます。
過日,開催案内のチラシを拝見したのでありますが,目的が多文化共生の視点で市民参画社会の実現を目指すこととなっているわけであります。実は若干違和感を感じたのでございました。
会議の名称が他市では男女共同参画会議であるのに対し,水戸市だけが市民参画会議となっていることは,前回の時点でも実は気がついていたのですが,目的がはっきりしていたので,男女を超えた人間という観点での名称と前向きにとらえていたのであります。ところが,今回は参加者のところも市民参画社会の実現に関心のある方となっており,他県から来られた方々がどのように受けとめられるのかとちょっと心配をするところであります。
所期の目的である3県の関係者が交流を図りながら,男女平等参画社会の形成に向けた啓発の機会として意義のあるものとなるよう,さらなる積極的行政の支援が必要と考えるのでありますが,見解をお伺いいたします。
いまだ実現されていない男女平等参画社会の実現こそ,だれもが認め合える新しい時代の成熟した社会につながるわけで,そのための水戸市男女平等参画基本条例や推進基本計画であるはずと私は考えますが,男女平等参画センターのホームページを見ても,条例や推進基本計画がホームページに公開されていない状況は,水戸市男女平等参画行政が後退するのではと心配をしてしまうのであります。早急な改善を求めるとともに,条例からなる推進基本計画に基づく施策の進捗状況等を含めた実情のさらなる周知が必要と考えますが,ホームページでの公開を含めた見解をお伺いいたします。
水戸市においても,市職の採用時や人事管理及び組織運営において,積極的に格差是正に向けた対応策がとられていることは評価いたしますが,実際の採用結果が女性より男性のほうが著しく多く,もう少し男女のバランスを考慮した採用ができないものなのかと思うところであります。職員採用においての1次試験の受験者の男女の状況と実際の採用結果の実情,さらには,今後の考え方をお尋ねいたします。
また,昨年は1名の女性救急救命士が採用となり,救急現場での活動を期待し,見守っていたのでありますが,現在は消防吏員として研修中とのことです。研修終了後は救急救命の現場に配置されるものと思われますが,他の女性消防職が事務的な職場にのみ配属されているという実情を見ると,女性が働き活動しやすい場という観点で果たして大丈夫なのかと心配してしまうのでありますが,その点についての見解をお伺いいたします。
管理監督者への女性の登用についてでありますが,係長には女性が活躍している姿が多くなってきているようですが,課長以上となるとまだまだ狭き門のようで,これからの活躍を期待するところですが,推移と実情,さらには今後の考え方をお伺いいたします。
水戸市では,男女平等参画推進課において,専門家による家庭内暴力やセクハラ等の悩み相談を行っておりますが,セクハラについては水戸市の商工政策課や人事課で,また,家庭内暴力やDVについては,子ども課において家庭児童相談員など2名の方の交代体制でかなりの件数の同様の相談を受け付けております。この種の相談は,窓口がたくさんあればいいというものではなく,相談のケースをこなすことにより,複雑かつ高度な判断力が身につくことにもなるわけですから,もし男女平等参画センターのほうの相談件数が少ないとすれば,関係各課との連絡調整もしやすい本庁に一元化をして,人員を増強するなどして対応すべきと考えますが,現状と課題をどのようにとらえられているのか,見解をお伺いいたします。
答弁
◎市長公室長(田尻充君) 野村議員の一般質問のうち,初めに,男女平等参画行政の推進についてお答えいたします。まず,北関東市民(男女平等)参画会議につきましては,北関東3県の市民の皆様が,宇都宮市,前橋市,水戸市を会場に,男女平等参画社会の実現を目指しまして,さまざまなテーマで話し合いをする会議でございます。今回が5回目の開催となります。現在,会議の開催に向けまして,地域社会の発展を目的に活動しております水戸女性会議のメンバーを中心とした実行委員の皆様が,その準備を進めているところでございます。
本市といたしましても,市民と行政が協働で行うこの会議を,男女平等参画社会の実現に向けた絶好の機会としてとらえ,「広報みと」,ホームページや集会等でのPRなど,成功に向け積極的な支援に努めているところでございます。
また,男女平等参画行政施策の周知につきましては,平成13年に男女平等参画基本条例を議員提案により制定した後,平成16年には,男女平等参画推進基本計画を策定し,平等・創造・平和を基調とした心豊かな男女平等参画社会の実現を目指し,特に,毎年9月を男女平等参画推進月間として定め,広く市民や事業者の皆様の理解と関心を深めるために,重点的に各種施策を展開しているところでございます。
また,基本計画につきましては,より実効性のあるものにするため,男女平等参画施策の概要を毎年作成し,進捗状況の把握に努めているところでございますが,議員御指摘を踏まえまして,概要,条例をホームページ等に掲載し,市民へのさらなる周知を図ってまいりたいと考えております。
また,男女平等参画センターの相談業務につきましては,平成14年1月から家庭内暴力など男女平等を阻害するさまざまな問題について,専門相談員を配置し実施してまいりました。福祉事務所所管の婦人相談業務と内容が重複していることもありますことから,今後,関係機関との連携を強化し,迅速な支援を行うため,窓口の一本化等について検討してまいります。 ◎総務部長(鈴木重之君) 野村議員の一般質問のうち,男女平等参画行政における職員の採用や管理監督者への登用などの御質問にお答えいたします。
まず,昨年度の職員採用試験の男女別の状況についてでございますが,受験者総数444人のうち,男性が228人で51%,女性が216人で49%の男女比でございました。そのうち,平成21年度の採用者は,全体で53人,男性が35人で66%,女性が18人で34%の男女比となっております。
男女のバランスをとって採用すべきではないかということにつきましては,地方公務員法の規定にございますように,職員の採用は,受験成績その他の能力の実証に基づいて行わねばならず,性別を採用の適否の判断材料にすることはできないものとなっております。
次に,消防職の女性職員の働きやすい職場環境の整備につきましては,現在3名の女性職員が火災予防業務,防火指導業務,救急業務等に従事しておりますが,女性職員が能力を十分発揮できるよう,今後も引き続き働きやすい職場環境の整備に努めてまいります。
次に,係長以上の管理監督者における女性の比率の推移についてですが,平成17年度におきましては8.0%の割合でしたが,平成21年度は10%の割合に推移しております。
今後の管理監督者への登用についての考え方については,人材育成や適材適所などの考え方のもと,意欲と能力のある女性職員が十分に力を発揮できるよう,適正な人事管理に努めてまいりたいと考えております。
質問
野村まこと(眞実)◆ 次は,大量退職にかかわる諸問題についてという通告をいたしました。以前から今後5,6年が市の職員の退職者がピークとなると指摘されてきており,中長期の職員 採用計画の中で解決しようと苦慮されているようでありますが,退職にまつわる問題は,あらゆる角度で検討がなされなければならないわけですが,市としてはどのような点に問題があると認識しているのか,お伺いいたします。職員定数,年齢構成の部門ごとの実情についても,あわせてお尋ねいたします。
この際,行政組織のあり方を含めた職員定数,年齢構成,管理監督者の適正化等の位置づけを改めて行った上で,計画的に採用を行うべきであると考えますが,以下の点で具体的に見解をお伺いいたします。
1点目は,仕事量の適正配分を踏まえた組織の再編計画ということであります。
2点目,年齢構成の実情と今後の方向性に基づく具体策。
そして,3点目,社会福祉士,各種技師等の専門的な職種がますます必要となってきていることは御承知のとおりで,既に一部については対応しつつあるようですが,消防職等の現場を抱える職については一時的に定数を超えた採用も必要となるわけでありますが,実態,将来の予測,対応策にあわせ,見解をお伺いいたします。
定年と勧奨退職を含めた退職金や年金の支払いからなる財政負担の増大による財政圧迫という状況を懸念し,動向を注視するところでありますが,退職時に生じてくる特別負担金や退職共済年金の負担金についての内訳と実情,見込み,対応策の順に,それぞれお伺いいたします。
昨日も,市職員のメンタルヘルス対策の質問が飯田議員からございましたが,職員が自分の職分や待遇を納得できて初めて,自信も持てるし,効率,効果的な業務が行えるわけで,地方分権や三位一体の改革の影響で末端行政である市の仕事は増大の一途をたどっているという昨今の実情を踏まえれば,行革と称して単純に人減らしをすればよいというものではなく,むしろ適正な定数に基づいた適正配置こそ重要な課題と考えるのであります。
昨今,水戸市のラスパイレス指数が,国を超えていると報道されたことによって,水戸市の職員の給料が高額との話題になり,非難の的にされつつあるのが実際のところであります。もちろん一部の部門によっては,仕事量に偏りが否めないところがあるものの,相次いで自殺する方が出るほど激務になりつつあるように思えるのですが,水戸市の職員の待遇はそんなにいいのか,ラスパイレス指数の考え方にあわせて執行部の見解をお尋ねいたします。
夕張市を筆頭に,財政破綻の可能性が取りただされている市町村の事例を見ると,ラスパイレス指数が100を超えることで,経常収支比率に影響を及ぼしているようでありますが,水戸市の経常収支比率の水準からなる考え方についても見解をお伺いいたします。
以上のことからも,適材適所による人材確保の視点が重要であり,自己申告制度や人事評価制度の充実活用こそ急務と考えますが,御見解をお伺いいたします。
答弁
◎総務部長(鈴木重之君)次に,大量退職にかかわる諸問題についてお答えいたします。
まず,職員の大量退職に伴う諸問題でございますが,本年4月1日現在の職員数2,112人を基準としますと,今後5年間で約20%に相当する405人が定年退職することとなり,専門的知識の継承や将来を見据えた管理監督者の計画的配置,職員の年齢構成の不均衡の是正などが人事政策上の課題であると認識しております。
次に,主事,技師等を含めた行政職の年齢構成については,1,457人のうち55歳から59歳までの職員数が全体の約20%を占めており,32歳から36歳も約20%を占めている状況となっております。
また,消防職の年齢構成については,今後5年間で現在の職員数の約13%が定年退職となりますが,33歳から37歳の職員が全体の約20%を占めている状況となっております。
次に,仕事量の適正配分を踏まえた組織の再編につきましては,毎年度,行政需要の動向を踏まえながら,組織及び職員定数の見直しに努めているところであります。今後も地方分権改革の状況を見きわめるなど,適切な行政組織の編成について,議会の御意見をいただきながら検討を進めてまいります。
次に,年齢構成の実情を踏まえた今後の方向性につきましては,大量退職者の人数をそのまま採用すると,新たな年齢構成の偏りを生むため,新規採用を行うに当たり,民間企業経験者採用等を必要に応じ検討し,あわせて,再任用制度の活用等によって年齢構成の平準化に努めてまいりたいと考えております。
また,消防職などの専門職における退職者の動向を踏まえながら,円滑な業務の引き継ぎに向け,効果的な職員配置のあり方について検討を進めてまいります。
これらの大量退職にかかわる諸問題を踏まえた適材適所の人員配置等につきましては,自己申告制度や現在管理職員のみ試行している人事評価制度を本格導入することなどにより,職員の意欲や能力等を見きわめた適正な職員配置に努めてまいりたいと考えております。
次に,退職手当や年金支給に伴う財政負担等についてでございますが,退職手当の一般負担金率の推移につきましては,平成16年度の1,000分の130から順次引き上げられ,平成22年度からは1,000分の245に引き上げられることが予定されております。
また,退職時に生じる特別負担金につきましては,退職者数の増により増加しており,平成18年度退職者分が約3億3,000万円であったのに対し,退職者のピークを迎える平成22年度退職者分は6億円と見込んでおります。その後は退職者の減少等に伴い,一般と特別負担金を合わせた退職手当負担金の総額は減少していくものと考えております。
次に,退職共済年金の負担金率の推移につきましては,平成15年度以降,毎年引き上げられて,今後も毎年度上昇することが見込まれております。
しかしながら,大量退職に伴う職員の入れかわりにより平均給料が抑制されること及び職員定数の減少等により負担金のもととなる給料総額が抑制されることが見込まれるため,現状の負担額より大幅な負担増とはならないものと考えております。 ◎総務部長(鈴木重之君)
次に,ラスパイレス指数の考え方でございますが,本市の諸手当を含まない給料月額のみの比較であるラスパイレス指数については,平成20年度100.9ポイントとなっており,確かに国の水準を上回っておりますが,本市では,地域手当の支給率を国より抑制しているため,給料に地域手当を含めたラスパイレス指数は平成20年度97.1ポイントで,実態的には国の給与水準を下回っていると考えております。
なお,決算統計による経常収支比率は平成17年度から平成19年度まで88%台で推移しておりますが,そのうち人件費分は,平成17年度30%,平成18年度29.4%,平成19年度29%と徐々に改善されている状況でございます。
質問
野村まこと(眞実)◆ 次は入札制度のさらなる改革についての質問であります。入札制度の原則は一般競争入札であり,水戸市でも岡田市政以来,その枠の拡大に取り組んできましたが,加藤市政の最近になって,新たに簡易型総合評価方式の導入を検討するようになり,昨年度から何例かの試行を始めたところであります。
そこで,簡易型総合評価方式を導入試行した文教福祉委員会所管の案件であった(仮称)内原地区図書館建設工事の入札結果について考察してみたのであります。この案件は予定価格4億4,200万円で,平成20年7月30日に開札となりましたが,入札価格で最も低い価格の企業体が契約できず,結果として,1,000万円を超える高値で応札した企業体が落札者となり,高値にもかかわらず契約をせざるを得ない結果となったのでありました。
それだけでなく,委員会での審査の過程で判明したのは,価格による点数を標準点100とし,9つの評価項目を評価点20と置いておりましたが,その中に5点という,最も高い配点項目とした施工計画の評価という項目があり,何と担当者だった市の職員は,片方の企業体に,客観性に欠ける5点という評価点数を入れていたのでありました。幸か不幸か,主観による5点が落札結果には反映しなかったので,問題にはいたしませんでしたが,このように客観性に欠ける判断が加えられる余地があることこそ,公平公正の入札が行われづらくなるというように,総合評価方式については問題が多過ぎると判断せざるを得ず,客観性や採点基準等の過程の透明性が確保されなければ,慎重な上にも慎重に扱い,無理に導入すべきでないとの結論に至ったわけであります。
これまでの試行での問題点や課題をどのように認識しているのか,そして,どのような対応策を講じるつもりなのか,今後の考え方の順に見解をそれぞれお伺いいたします。
市制施行120周年の記念事業である市立競技場の工事についてでありますが,そもそも当初は平成19年10月に実施設計が完成し,11月に入札,12月議会には契約案件として議案が提出されるはずでありましたが,入札の公告をしながら参加企業体がなく,不調に終わったため,再度入札にかけるための設計変更をしている最中で,不調に終わった原因の一つに,担当課の積算漏れにより予定価格が著しく低価格になってしまったということが判明したのであります。
積算漏れを解消し,十分な予算を補正し,改めて入札を行った結果,予定価格21億9,271万5,000円に対し,株木・昭和・西山・北島の共同企業体が2番札21億9,030万円の常総・葵・東洋工業・菅野の共同企業体に1,050万円の差をつけて落札をし,平成20年2月25日に工事請負契約を締結し,工事に着手したのであります。
その後,平成20年7月10日になって,水戸市は過去に例のない,いわば伝家の宝刀とも言える単品スライド条項の適用の開始を財務部契約課より発表したのでありました。そして,何と対象工事として発表した7月10日以降に新規発注する工事だけでなく,発表の時点で,継続中の工事まで含めるとしたのでありました。そして,対象となる工事は,文教福祉委員会所管だけでも,先ほどの(仮称)内原地区図書館や水戸二中の屋内運動場及び武道場改築工事,水戸二中改築工事(2期)と幾つもありながら,5カ月も前に着工している市立競技場だけが該当ということで,当該企業体からの請求に基づいて,支払い義務があるわけではないのに,貴重な市民の血税を3,208万8,000円も余計に支払うこととし,今議会に契約金額変更増額の議案を提出しているものであります。
そもそも単品スライド条項というのが,資材の著しい価格変動があった場合に増額するばかりでなく,減額も請求できるという制度であることは,御承知のとおりであります。にもかかわらず,本件のみが該当ということ,また,2番札の企業体の入札価格が1,050万円高いだけであることを見れば,価格がおおむね妥当であったと判断できるのではないでしょうか。さらには,本来工事を受注する段階で,価格変動の恐れのある資材の購入は手配ができてから請け負うのが業界の常識であり,他の業者の方々は変動の影響がないから,増額の申し出がないわけで,当然至極であります。市もそのことをわかっているから,減額の請求を幾ら募集してもそれを行うことができないのではないでしょうか。このような請求を認めていたら,入札制度そのものを否定することにもなりかねず,市は,水戸市の第三セクターでもない民間企業体であることからも,2番札の企業体との入札差額の1,050万円以内の増額に抑えるよう,請求があっても交渉すべきであったのではないでしょうか。というふうに賛同したくないという思いが正直なところであります。
以上のことから,単品スライド方式導入は,軽率のそしりを免れないと指摘せざるを得ないのでありますが,どこの発案で,市はなぜ契約中の工事まで対象としたのか。現時点での問題点と課題をどのように認識しているのか。今後どのような対応策を講じるつもりなのかの以上3点について,それぞれ明快な答弁を求めます。
答弁
◎財務部長(小野輝男君) 野村議員の一般質問のうち,入札制度のさらなる改革についてお答えいたします。総合評価方式につきましては,平成17年4月に施行されました公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づき,国,県が導入を促進している制度であります。本市におきましても,価格と品質確保の観点から,平成19年度より試行導入しております。これによりまして,公共工事に必要な技術力の高い請負業者が施工することとなり,工事目的物の性能の向上,環境対策が図られるとともに,ダンピングの防止,不良,不適格業者の排除,談合が行われにくい環境整備などが期待できると考えております。また,今後は試行の結果を踏まえ,総合評価方式が目的物にどのように反映されたのかを検証してまいります。評価基準の設定につきましては,これまでも案件ごとに複数の学識経験者の意見を取り入れ,客観性の確保に努めてまいりましたが,今後もより透明性や客観性の向上が図れるよう努めてまいります。
次に,単品スライド条項の導入についてお答えいたします。
単品スライドにつきましては,契約履行中に特別な要因により資材価格に急激な変動が生じた場合,請負代金額の変更を請求できるものであります。平成20年度において原油価格が高騰し,鋼材類や燃料油の価格が上昇したことによる,国,県の運用開始に基づき,本市においても同年7月に運用を開始したものであります。その後,原油価格の下落による資材等の価格変動についても,対応する旨の通知があったところであります。御指摘の対象工事の時期につきましては,契約約款において工期内の価格変動を対象としておりますので,御理解を賜りたいと思います。
また,現在履行中の工事につきましても,主要資材等の価格変動を十分に把握し,適切に対処してまいりたいと考えております。
質問
野村まこと(眞実)◆ 続いて,中心市街地の活性化の推進についてであります。中心市街地の活性化の問題は,計画を繰り返しつくりながら検討をし続けている執行部の実情を叱咤激励しつつ,これまで幾度となく問題を提起したり,質問をしてまいりました。
そして,中心市街地を支える外縁部の旧村等の既存集落と中心市街地のにぎわいをなくしては,いかに周辺地区の拠点開発を行っても一時しのぎにほかならず,結局は水戸市全体が衰退の一途をたどってしまうことになるとの結論に至ったのであります。どこが問題かと言えば,種々の施策を論ずる前に,コンパクトなまちづくりを基調とするしっかりとした水戸市のグランドデザインが描けてないという一点に行き着いてしまうのであります。
これまでの経緯等については,過去の質問の中で申し上げてきたので,この場で繰り返し申し上げることは差し控えますが,まず,加藤市長が構造改革特区として打ち上げて取り組んできた道路の一部を駐車利用可能とする件については,最初の30分のみ無料で,それ以降は有料という形でもいいから,駐車可能帯の早期設置へ向けて,総力を挙げて取り組まれるよう求めるものであります。
また,三の丸旧県庁舎と跡地の活用については,とかく市役所の一部移転か全面移転か,北か南のどちらかに重きを置いて活性化するのかという論争になりがちな案件ですが,北も南も水戸市の中心的な市街地であり,水戸市の核としてにぎわいを再生すべきものであると考えるわけで,老朽化している市役所が現在地で建てかえすることが難しく,仮に移転するとしても,跡地の活用なくして移転することなどあり得ないのであります。
水戸市議会にも同時に提出されている請願の市役所の移転については,具体的な検討を行い,方針を確立することであり,旧県庁舎の活用については,水戸市への移管手法について県と具体的な協議に入ることの2点が要旨でありますが,明日の水戸市を創る会が県議会に提出した請願が全会一致で採択された以上は,まず,権限を水戸市へ移管してもらうための協議に市が着手してもらうことが重要であり,移転が可能となった段階でしかるべき機関を設置して,市庁舎の建てかえと三の丸旧県庁舎の活用に向けた詳細な検討を行うべきと考えるところでありますが,加藤市長が知事に申し入れた以降のここ近々の経緯を踏まえた上での中心商店街の大通りの駐車帯設置要望,三の丸旧県庁舎の行政機構の再配置要望への積極対応策,具現化における課題と対応策について,それぞれお伺いいたします。
答弁
◎市長公室長(田尻充君) 次に,三の丸旧県庁舎の行政機構の再配置要望への積極的対応策に関する御質問にお答えいたします。県庁跡地につきましては,これまで行政機能の中核を果たしてきた役割やその歴史的シンボル性からも,また,水戸市第5次総合計画−水戸元気プラン−において水戸の発展をリードする都市核と位置づけた中心市街地の再生を図る上でも,大変重要なものであると認識しております。
このことから,三の丸庁舎としての暫定利用がなされてからも,三の丸庁舎が歴史都市・水戸のシンボルであり,中心市街地の活性化に重要な役割を果たすとの認識のもと,水戸市が活用できるよう要望してきたところであります。
平成21年第1回茨城県議会定例会におきまして,水戸市庁舎の移転に係る県の見解が示されたことを踏まえまして,去る3月23日,市長みずからが県知事及び県議会議長に対し,茨城県庁舎跡地利用に関する申し入れを行ってまいりました。
中心市街地のにぎわい創出に向けましては,人的活性化を図ることが急務であると認識しておりまして,また,市民サービスの向上の視点から,市庁舎の狭隘化を早期に解消しなければならないことからも,三の丸庁舎への一部機能移転について,4月から協議を開始したところであります。
三の丸庁舎4階部分への一部機能移転を前提といたしまして,庁舎利用に係る改修工事等の課題の整理に向けまして協議を精力的に行っているとともに,中心市街地の活性化や市民福祉の向上の視点から,どの部署,機能を配置すべきかなどの検討を進めているところでございます。
年内の合意形成に向けまして,議会の御協議をいただきながら,引き続き県との協議を進め,早期の実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◎産業経済部長(比佐敬君) 野村議員の一般質問のうち,中心市街地の活性化の推進についてお答えいたします。
中心商店街の大通りの駐車帯の設置につきましては,これまで,国土交通省常陸河川国道事務所や水戸警察署などの関係機関と協議を行ってきたところでありますが,道路構造令等関係法令の諸規定を満たすことができないことや道路交通上の具体的な危険性が指摘され,実現は難しいとの見解が示されている状況であります。
したがいまして,本市といたしましては,改めて道路管理者である国土交通省常陸河川国道事務所及び交通管理者である水戸警察署の意向を確認してまいりたいと思います。
質問
野村まこと(眞実)◆ 次は,記念事業の推進についてであります。市制施行120周年記念事業への積極的な対応について,水戸藩開藩400年記念事業への積極的な対応についてという通告をいたしましたが,その理由と言えば,120周年にしても400年にしても,いずれも今年1年しかない絶好の機会でありますが,残すところは10カ月ぐらいしかないわけであります。市民レベルでの盛り上がりがいま一つ欠けているような気がしてならなかったからであります。
そこで,提案をさせていただきますが,市内で行われる総会,講演会,展示会,発表会等,あらゆる行事に120周年または400年,もしくは両方の冠をつけてもらい,あらゆる機会の印刷物等の資料に入れ込んでもらうよう,全庁的な対応による各課への指示はもちろんのこと,住みよいまちづくり推進協議会を初めとした市内の各種団体に呼びかけるよう求めるものであります。
関係各市との連携強化によるイベントの開催にあわせて,歴史的な関係のある彦根市や高松市,敦賀市または金沢市や岡山市などとの関連を位置づけたセールやフェアあるいはキャンペーンを,例えば京成百貨店や物販店,飲食店などの市内の商店,事業者に協力を呼びかけることにより,同時多発的に市内や近隣市町村の至るところで,記念すべき120周年であり400年が市民に浸透するよう求めるものであります。
また,各図書館に歴史コーナーを位置づけたり,各市民センターに関連行事のPRグッズの掲示を依頼するなどし,また小中学校の学園祭や体育祭,市民体育祭といったイベントや,生涯学習の観点での歴史講座を開設するなど,教育の分野でもさらなる対応が必要なのではないでしょうか。
「桜田門外ノ変」の映画化へ向けた監督等の発表があり,期待される中,リーフレットやホームページには水戸藩開藩400年記念と銘打たれております。−−ここにございます。関連行事への正式な位置づけがいまだなされておりません。早急に位置づけるとともに,市民への積極的なPRや水戸市内へのロケ地誘致,そしてエキストラへの市民の参加というように,市民レベルの盛り上がりへ結びつけるべく,さらなる支援が必要なのではないでしょうか。
答弁
◎市長公室長(田尻充君) 次に,市制施行120周年,水戸藩開藩400年記念事業に関する御質問についてお答えいたします。記念事業につきましては,記念式典,記念イベント,記念出版等,記念施設,記念宣言の5つの柱で構成しております。
そのうち,記念イベントにつきましては,水戸藩開藩400年記念事業,市立競技場竣工記念イベント,備前堀開削400年記念事業の3つの事業を重点事業として実施するものでございます。
これら重点事業のほか,まち全体,市民全体でこの節目の年を大いに盛り上げていけるよう,市民団体等がみずから行うイベント等について,記念事業に位置づけまして実施しているところでございます。今後さらなる盛り上がりを図っていくためにも,市民団体等が主体となったイベント等について,冠事業として実施していただけるよう,また,記念ロゴマークにつきましても,各種印刷物を初め,さまざまな場面で活用が図られますよう,改めて周知に努めてまいります。
今後とも,市制施行120周年,水戸藩開藩400年という記念すべき年に,次代を担う子供たちを初め,多くの市民の心に残り,さらには「元気都市・水戸」の再生につながる事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◎産業経済部長(比佐敬君)
次に,水戸藩開藩400年記念事業への積極的な対応でございますけれども,御質問の「桜田門外ノ変」の映画化につきましては,映画化を通したまちの活性化に向け,既に水戸藩開藩400年を記念した当該事業を支援しているところであり,市民の機運を高める取り組み等についても調整を進めているところであります。
したがいまして,映画の制作発表にあわせ,水戸藩開藩400年記念事業にも位置づけ,一層の盛り上がりを図ってまいりたいと考えております。
また,水戸藩開藩400年記念事業による歴史的なかかわりのある都市との連携事業につきましては,水戸にゆかりのある都市との交流事業として,さまざまな都市との観光物産展の開催,それから水戸藩開藩400年をテーマとしたシンポジウムの開催などにより,水戸にゆかりのある都市に対して参加を呼びかけながら,各種記念事業を実施してまいります。
数多くの関係市町村の方々に参加をいただき,さまざまな記念事業を通して,歴史的な関わりのある都市の文化と経済の交流を促進し,市民の皆様とともに,この記念すべき年を意義ある年にしてまいりたいと考えております。
質問
野村まこと(眞実)◆ 最後は市長の政治姿勢についての質問を通告いたしましたが,時間が19分しかございません。一般質問のため,加藤市長に答弁をいただくことができないこともありますので,質問は割愛をさせていただきまして,これまで,全国特例市市長会の会長に我が水戸市の加藤市長が就任されたことをお喜びを申し上げまして,会長として意義ある御活躍を祈念申し上げますとともに,会長市として高い評価が得られるような,例えば包括外部監査制度を導入するというような施策を求めて,質問は割愛をさせていただきます。以上で,一般質問を終わります。答弁によりましては,時間が許されれば再度質問をさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。