平成21年9月定例会
野村まこと(眞実)の一般質問と答弁の全文です。
前文
野村まこと(眞実) 質問に入ります前に,去る8月13日のお盆のときに御逝去されました須能昭一先輩のみたまに哀悼の意をささげ,またこの議会におきまして縁のありました諸先輩方,それぞれ先に他界された先輩方に心から御冥福をお祈りし,そして,その先輩方の分までしっかり使命を全うしていく決意を改めてお誓い申し上げまして,ただいまから,平成21年第3回水戸市定例会に当たりまして一般質問を行います。質問
野村まこと(眞実)◆ 17番(野村眞実君) 私は葵政友会の野村眞実でございます。今回の質問は,各学区の公民館の廃止問題についてという通告をさせていただきました。水戸市の将来にとって極めて重要な問題であると認識をいたしまして,今回はあえて質問を一本に絞らせていただいたところでありまして,本定例会では,既に民主・社民フォーラムの玉造議員あるいは日本共産党水戸市議団の田中議員が代表質問で,また須田議員,飯田議員が議案質疑あるいは一般質問でそれぞれこの問題について関連する質問をなさっておられました。
加藤市長や鯨岡教育長の答弁を聞かせていただきましたけれども,さすが生涯学習都市宣言をした水戸市だというふうに関心をさせられた,大変耳ざわりのいい答弁であったわけでありますが,その後の一般質問の中で,細部にわたった御質問に対する具体的な答弁をうかがっている限りでは,やはり水戸市の生涯学習が衰退するように,将来を悲観してしまわざるを得なかったのが正直なところであります。このことは私だけではなくて,同様の考えを持たれた議員諸兄もおられるのではないかと思います。行政の都合ではなく,将来の水戸市民のためという観点での認識のもとで,答弁をよろしくお願いをいたします。
平成5年11月に,今は亡き佐川一信元市長が水戸市生涯学習推進基本計画の策定を行うとともに,みと好文カレッジ推進本部の本部長にみずからがつき,平成6年4月に地方教育行政法第30条の施設としてみと好文カレッジを設置し,生涯学習の推進こそが住民自治の基本であり向上につながるものとして,思い入れを持って計画の実施に取り組んできたのでありました。
平成5年の9月に佐川元市長が茨城県知事選挙に出馬することになり,結果,誕生された岡田市政に引き継がれ,各小学区ごとに公民館が存在するという状況に到達し,岡田前市長のもとでくしくも市制施行110周年というこの記念すべきときに生涯学習都市宣言をしたのでありました。公民館は,水戸市が全国に誇れる特徴であり,市民の貴重な財産であるわけなのであります。
そこで,質問ですが,今回提出の議案は廃止という言葉を避けて,公民館条例の一部を改正するものとしてはいるものの,結果として内原地区を除いた水戸市には,社会教育施設としての公民館は1館も存在しなくなるわけで,事実上の廃止条例ではないかと考えますが,見解をお伺いいたします。
次は,内原公民館並びに分館のみ,社会教育施設である公民館のまま変えなかった理由についてでありますが,区長会の意向が大きいと所管の委員会で説明されたと聞き及んでおりますが,区長会では廃止についてどのような意向を示されているのか,具体的に説明を求めます。
廃止し市民センターにすることで何がどのように変わるのか,次の点について具体的に説明を願います。
1点目は,日常のもろもろの業務の種類と内容についてであります。2点目が,正職員,嘱託員等の人員の配置,所属並びに具体的な業務の分担。そして,3点目は,財源を含めた部局ごとの予算の内訳。4点目が,市民サービスが向上するとしたら,何がどのように向上するのか,それぞれお伺いするところであります。
これまでの公民館運営審議会は,内原地区の公民館だけを審議する形で残すことになるわけですが,新たに提案の市民センター運営審議会の法的な位置づけと審議内容を含めた役割の違い,さらには,水戸市教育委員会あるいは水戸市社会教育委員会議の中での位置づけ等の違いなど,行政との具体的な関係をお伺いするところであります。
議案説明会の資料で,施設名を市民センターに一本化し……としておりまして,議案説明会の中で説明を受けたところであります。ここにその資料がございますが,この議案第76号参考資料の中に「施設名を市民センターに一本化し,生涯学習活動とあわせ,地域住民が生涯学習によって学んだ成果を地域コミュニティ活動として実践することを,体系的かつ総合的に推進するため」に市民センターの条例を制定すると,このようにあるわけで,名称を一本化すると,このことは,これまでの答弁の中でも,実際に,名称の問題について教育長が田中議員の一昨日の質問,社団法人全国公民館連合会に入れないんじゃないか,加入できないんじゃないかという質問に対する答弁で,名称を変えるのみだから,茨城県に入っていればそのまま加入は可能ということで,問い合わせも済んでいるというふうに,その後,教育次長が一般質問でも答えておりました。そういうことであれば,名称の問題であれば,現在の公民館条例の別表にある施設の名称を市民センターに変えればいいということを,これまでも私は加藤市長あるいは鯨岡教育長に申し上げてきたんですが,そのことの中で事実上の条例廃止にする意図がどこにあるのかをお伺いするところであります。
市民センター条例の制定の理由や設置目的を見るときに,改正前の現在の社会教育施設のままでも目的を達成することに何ら問題がないと思われるのですが,他市の事例をどのように調査をされ,考察をされたのか,それとも単に他市の例を倣っただけなのか。名称のみの変更では何が問題で,どのような不都合が生じるのかを御説明を願います。
現在の公民館・市民センターの施設の法的な位置づけそのものが変わるように思えるのですが,改正前と後とで施設の根拠となる法律はどう変わるのか,お伺いをいたします。
市制施行120周年を契機に行う市民と行政の協働都市宣言を実効性のあるものにすることを主眼に置けば,法的な位置づけは外すべきではなく,私は市民センターへの名称の統一で対応するほうがより望ましいと考えるのでありますが,協働都市宣言,これは宣言文が同じようにございます。協働都市宣言と市民センターに法的な位置づけを変えることとは関係があるのかをお伺いするところであります。
と申しますのは,議案説明会の資料の中に,策定の経緯というのがございます。市民活動団体等の一層の活動の進展に向けて新コミュニティ推進計画,協働推進基本計画を策定したことを踏まえて……,市制施行120周年記念事業推進本部において決定をしたんだということに至るわけで,これを踏まえるということは新コミュニティ推進計画につながるわけですね。新コミュニティ推進計画を実は見せていただきますと,こちらの,18ページに,地域が担う市民センターの管理運営ということが明確にうたってあります。行政においては地区会などが主体となった市民センターの管理運営について,モデル地区による実施等も含めた運営手法の検討を進めるとともに云々と書いてございます。
そして,地域コミュニティ活動の拠点の機能強化という中で,このところにも施設の名称を市民センターに一本化しと,生涯学習活動の拠点,地域コミュニティ活動の拠点としてと,この資料の中身について,どちらを先に書いているかという問題なんですが,生涯学習を先に書いて,地域コミュニティを後に書いているものもあれば,逆の表現をしているものも−−その都度使い分けているわけですね。その辺についても何をしたいのかということがよく理解できないわけであります。
改めて,協働都市宣言との関係,そして水戸市協働推進基本計画,こちらもこの中に結構しっかりとうたわれております。これでもって計画の位置づけがあり,行革ということの行政改革,リーディングプランや行政改革プラン2007の中でも市民,ボランティア団体というふうにうたってあって,行革と協働推進基本計画が何か一緒でダブってきている要素も含まれているような向きがございまして,かつ,そこについてむしろ自主性の尊重の原則ということで,一方,水戸市はみずから主導して市民活動団体を設立させたり,自主性尊重という名目で仕事を丸投げしないこととしますと,こういう注意書きがわざわざ自主性の尊重の原則というところにうたわれているということは,そういうことも多分に考えられる要素があるということを,策定をされた先生方はお考えになったのかなというふうに重きを置いて見ているところであります。
そこで,質問を続けますが,各公民館の運営審議会や社会教育委員会議において,民間委託化の案は事実上廃止となっていたわけでありますが,今回の条例改正によりまして法的な位置づけを強引に変更しようとしているところを見ると,近い将来,民間委託化を行うための布石なのではと考えたくなるのですが,御見解をお伺いするところであります。
この件につきましては,まさに,市民センター条例については人の配置が位置づけられていないと−−人員配置が条項の中にないということを須田議員も議案質疑の中で指摘されて,全く同感だと考えているところであります。
そもそも私は,平成9年から12年まで水戸市社会教育委員を務めたり,あるいは平成11年から15年までみと好文カレッジの運営審議会の委員を務めまして,こちらは袴塚議長あるいは加藤光子議員,それから川崎篤之さんもそうですね,高橋靖さんとか,それぞれ社会教育委員会議やあるいはみと好文カレッジ運営審議会に出て,まさに水戸を代表するような教育に精通をされた識者の委員の方々と熱い思いをぶつけあって,大変勉強になったことを今記憶しております。
生涯学習都市宣言を行い,公民館を核として生涯学習の推進を行ってくる中で,公民館のニーズの多様化に押されて生涯学習の推進が停滞しつつあったその当時,生涯学習のさらなる充実が社会教育委員会議やみと好文カレッジの運営審議会において,建議等の形で示され,改善を求められていったところであります。
このことも,これまでも飯田議員の質問の中にもございましたから,改めて,繰り返しは申し上げません。しかし,公民館の総合評価の導入であったり,課題ということが明確にうたわれ,大きなポイントというのは,公民館における社会的課題の解決の問題の前に,公民館の仕事が市民サービス,コミュニティ活動,数々幅をだんだん広げて,そこについては大変評価をしております。評価をしながら,市民サービスを広げてきた結果,現実には本来の社会教育の部分のウエートがとれなくなったと,そこが一番の大きな問題として位置づけることになって,強化の必要性ということがしっかりとうたわれたわけですね。
そういう状況の中で,本当は予算をもう少し市長部局から,逆に言うと生涯学習課のほうに回して,教育委員会で予算をいただいてしっかりと強化をすべきだと,人を分けて配置してもらおうということを論じていた経過の中で,実際にはスタッフがそっくり,館長が市民生活課に移る,市長部局に移ると,こういうふうに変わったわけであります。そういうことの中で,これまで数々の論議をしてきた,指摘されていた課題が4つ,5つございました。このことについてどのように考察をされ,どのように解決推進策を講じてこられたのか。何ら改善も進展もないまま所管がえをするなどというのは無責任と言わざるを得ないというふうに申し上げたいところであります。
これは,文教福祉委員会でも随分論議をしまして,やはり建議であったり,その中で具体的に指摘されたもの,そして総合評価をしっかりやって,まず生涯学習の推進のため,改めて公民館の責任を果たした上で一本化に向けて取り組むべきじゃないかということの意見もそれぞれ委員の皆さんが言われたものが議事録にもしっかり残っています。そういうことをどういうふうに解決をされた上で,今回の行動に移ろうとされているのか,その辺も含めてお伺いをするところであります。
学校,家庭,教育の連携融合を踏まえればこそ,生涯学習を各公民館(名称市民センター)において推進することが重要であるわけですが,公民館において生涯学習を推進すべき役割や責任について,水戸市の教育行政の中で,教育長並びに市長はどのように認識をしていると教育次長はナンバー2として聞き及んでいるのか,その辺についてしっかりと御答弁をいただきたいと思います。
最後の質問は,公民館職員の市長部局と教育委員会の併任から始まって,公民館に市民センターとしての機能を併設,さらには名称の統一案から,公民館を今度は廃止して市民センターに法律上も一本化をしようとする今回の提案に至ったわけであります。何段階かのステージを踏んできているわけですけれども,市民センターの機能設置時に市長は,公民館の運営に有効な効果をもたらすものと考えると答弁しておりました。改めて考察するためにも,さらなる慎重な対応ができないものかということを感じるということを申し上げました上で,それぞれの経緯ごとでの考察と,変更してきた理由と見解をお尋ねいたしまして,第1回の質問を終わります。
答弁によらなくても,恐らく2回目の質問をやらせていただくことになると思いますので,しっかりと御答弁をよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
答弁
◎教育次長(内田秀泰君) 野村議員の一般質問のうち,各学区の公民館の廃止問題についてお答えいたします。水戸市公民館条例の一部を改正する条例につきましては,内原中央公民館を除く31公民館を市民センターに一本化することに伴い,市民センター条例の制定とあわせて,公民館条例における規定を削除するものでございます。市民センター条例においては,市民センターの事業として生涯学習活動の推進に関することが規定されており,公民館の名称が市民センターに一本化されても,公民館で行っている社会教育事業は引き続き市民センターの事業として地域コミュニティ活動の支援と一体的に推進してまいります。
次に,内原地区においては,現時点で小学校区ごとに公民館,市民センターを設置しておらず,地域コミュニティ活動の支援については内原支所がその役割を担っていることから,併設しなかった経緯があり,本議会で提案する条例において,内原中央公民館及び中妻分館については,引き続き公民館として位置づけするものでございます。今後,合併建設計画に基づき小学校区ごとに整備を進める段階において,市民センターとして位置づけてまいりたいと考えております。
次に,社会教育委員会議から出された建議及びみと好文カレッジ運営審議会から出された意見書につきましては,現状の把握と分析,提言の内容についての検討を行い,市民センター職員を対象にした社会教育に関する研修の充実,学習プログラム作成研修の実施,講師の派遣等による大学やNPO,企業との連携,市民意識調査の実施などに取り組んでまいりました。御提言いただいた中で,公民館の総合評価や公民館,市民団体,企業などが一体となった情報ネットワークの構築など実施に至っていないものがございますので,新生涯学習推進基本計画に位置づけ,取り組んでまいります。
次に,公民館・市民センターにおいて生涯学習を推進すべき役割や責任につきましては,市民センターが進める事業の2本柱の1つに生涯学習活動の推進に関することと規定されているとおり,地域の生涯学習の拠点として個人の要望する学習と社会の要請に応じた現代的課題を扱った学習のバランスを保ちながら,学習への取り組みが明確となるよう講座をみと弘道館大学として位置づけて,学習機会を提供してまいります。引き続き,市民センターで行う社会教育事業は,生涯学習課が所管し,社会教育に係る予算の執行管理を行ってまいります。また,みと好文カレッジが市民センターに出向いて,講座開催に向けての支援,指導を行うなど,社会教育事業の充実と生涯学習の振興に努めてまいります。
本市では,平成11年に生涯学習都市を宣言し,各種施策を実施してまいりましたが,今後とも市民センターを拠点に地域における生涯学習活動の推進に努め,学びの成果を地域全体で共有し,住みよいまちづくりを目指してまいります。 ◎市民環境部長(戸村洋二郎君) 野村議員の一般質問にお答えいたします。
少子高齢化や核家族化が進む中で,人と人とのつながりが希薄になり,子育てや高齢者支援,防犯防災活動や清掃活動など,地域コミュニティ活動が失われつつある現状でございます。
平成18年4月に公民館に市民センターを併設し,地域住民がみずから地域のために活動するとともに,さらに住民が主体となった地域づくりを目指し,生涯学習の場としてだけではなく,地域におけるコミュニティ活動の拠点として展開してまいりました。
これからは,地域のことを一番よく知っている地域住民が,自主的にまちづくりのための活動を進めていくことが必要であり,地域の課題や現代的課題の解決に向け,生涯学習を進めることはもちろん,生涯学習によって学んだ成果を地域コミュニティ活動として実践していくという一連の流れを体系化し推進してまいります。そして,市民にわかりやすい施設とするためにも,施設,組織ともに市民センターに一本化し,一体的に事業を展開してまいります。
市民センターにおきましては,生涯学習都市宣言を踏まえた生涯学習活動の拠点,そして地域コミュニティ活動の拠点として位置づけ,バランスのとれた事業展開や運営を図りながら,地域のさらなる活性化を推進してまいります。
職員の人事発令につきましては,市長部局からとし,生涯学習に関する事務については,教育委員会からの補助執行により対応してまいります。
予算につきましては,生涯学習活動に関しては教育委員会が,人件費及び施設維持管理に関しましては市民環境部でそれぞれ執行してまいります。
また,公民館運営審議会は,社会教育法第29条の規定に基づき,公民館条例に位置づけ,公民館における各種事業の企画実施について審議しておりますが,市民センター運営審議会は市条例での位置づけとなり,役割につきましては,コミュニティ活動に関する事業及び生涯学習活動に関する事業の企画実施について審議することとなります。
行政におきましては,運営審議会でいただいた答申を踏まえ,コミュニティ活動及び生涯学習活動の推進に向け,地域住民の意見を反映させた運営に努めてまいります。
また,現在の公民館は,社会教育法第24条の規定に基づき設置しておりますが,市民センターにおきましては,地方自治法第244条の規定に基づき公の施設として設置するものであります。
市民と行政との協働都市宣言につきましては,あらゆる分野において,市民と行政がともに力を合わせ,まちづくり,地域づくりを進めるために行うものであり,市民センターにおきましても,協働都市宣言の趣旨を踏まえ,生涯学習によって学んだ成果を,市民と行政との協働により地域コミュニティ活動に生かしてまいるものであります。
市民センターの管理運営を地域にゆだねることにつきましては,将来のあるべき姿として位置づけているものでありますが,地域の実情はさまざまであり,地域住民の意見をよく聞きながら慎重に進めていく必要があるものと考えております。
これからは,市民センターを拠点とした市民と行政との協働により,地域福祉の向上を目指し,市民の生涯学習活動と地域コミュニティ活動のより一層の進展を目指してまいります。
質問
野村まこと(眞実) ◆17番(野村眞実君) それぞれ御答弁ありがとうございました。再度質問をさせていただきます。と申しますのは,実際のところ,質問の趣旨と答弁がかみ合わないんです。はっきり申し上げて,何をどう答えているのか,要するに,どう違うのかという法的位置づけの違いを聞いたことについて……,つまり何を申し上げたいかと言うと,例えば今市民センター運営審議会と公民館運営審議会の違いをうかがいました。これは全く違うものであるということを簡単に説明すればいいんですが,難しい言葉で言っているから,一緒なのか違うのかわからないという状況なのです。
要するに,市民センターの運営審議会というのは.条例によって定めているものであって,あくまで市長または教育長の諮問に応じて審議する権限のみしか与えられていないんです。公民館の運営審議会というのは,社会教育法に基づく公民館で,しっかりと社会教育法の中に運営審議会も設置をすることが実際に位置づけられていて,それを条例化するようにという上位の法律があって,その法律に基づいているわけであります。
大変わかりづらいと,質問がわかりづらいという声もありますから,簡単にわかりやすく言えば,今……
〔「素直に認めればいいんだよ」と呼ぶ者あり〕 ◆17番(野村眞実君) 素直に認めて取りやめれば一番いいと,こういうふうに私は思うんですが,要するに,もともと公民館というのは社会教育施設であることはもう十分御理解いただいていることと思います。
答弁を聞いていると,地域において,これまで実践した生涯学習の成果を地域コミュニティに還元することによって,地域コミュニティがさらによくなっていく形をとるんだということを言っていますけれども,全く机上の空論と言いますか,地域コミュニティは,それぞれ地域の中で本当に大変な苦労をしながら,地域コミュニティの維持,活動の維持に努力をしているのが実情です。どこでも問題を抱えていて,それをどうやって解決するかということで悩んでいるのが実情ですね。その中で,生涯学習の成果を生かして地域コミュニティに簡単にもっていけるというふうなことは,今の段階ではそこまでの生涯学習の社会的課題の水準が現実に上がっていないのが実情ですから,まず,そういう意味で社会教育施設としてしっかりと市民が学べる場を確保することが大事だということを申し上げているわけです。
ちなみに,執行部が用意をしました資料−−委員会に提出をされたのかわかりませんが,市長部局所管の公民館等主な設置市町村という資料が出されておりまして,41の公民館が,41の市町村が生涯学習,つまり社会教育施設である教育委員会から所管を市長部局に移したんだと,このように資料が提出をされております。それを改めて調べさせていただきましたけれども,それはそのとおり移っているものもあれば,ほとんどが社会教育施設のままです。42館あるうちの,明らかに8館しかありません。8つの市が市長部局に移して市民センター条例として独立をさせている。あるいは,もともとコミュニティセンターとしてずっとあって,日立市のように公民館が少なかった場合,これを統合したというのはありますけれども,実際にこの数を調べてみれば,そういうデータがしっかり物語っているわけです。
それらをチェックすれば,時間が十分ありますから,それでは,もう少し具体的に調べた成果を,青森市の公民館,一番上に茨城県が入って,次,青森市があるんですよ。青森市は市民センターに移って,市民文化部生涯学習課が担当していますと,このように出しているんです,資料は。ところが,調べてみましたら,青森市は公民館条例がしっかりあるわけです。公民館条例は廃止されていません。仙台も,豊田市,これも社会教育法に基づく施設としてしっかりと位置づけてあるわけです。豊田市も社会教育法に基づく施設として生涯学習センターという名称,仙台市は市民センターという名称ですが,社会教育法第24条の規定に基づき市民センターを設置するというふうにあるわけです。
それから,もっと言いますと,四日市市は,本市は地方自治法第155条に基づく出張所及び社会教育法第20条に基づく公民館として地区市民センターを設置すると,しっかりと−−要するに法律上の制度を集会所に変えようとしているわけですね,今,水戸市は。集会所じゃなくて,社会教育施設としてのしっかりとした法的担保を取っているのが他の市町村であります。そういう点で,全部調べてみれば,出雲コミュニティセンターの設置についても同じです。社会教育法に定める公民館の機能の一層充実を図ると。ですから,ここを,根底から水戸市は知っていて,他のものを全部調べた上で,あくまで社会教育施設から外して,知っていた上でおやりになっているのか,非常に理解に苦しむところであります。
そういう点で,今度は特例市の公民館の設置状況についても,これは資料が出ていましたので,これも具体的に検証させていただきました。
そして,生涯学習都市宣言−−水戸市は都市宣言をしているわけですね。都市宣言をしている市町村の中で,今回のように,公民館を少なくても市長部局に所管がえしたものは1件もございませんでした。1件もないというのが実情で,そういう問題提起を再三しながら,これはなかなか合意は得られませんよと,かなり大きな問題になる,そのぐらい重要な問題であるということは申し上げてあったにもかかわらず,整々粛々と議案をお出しになってくるというのは,執行部ではどのように考えておられるのか。
いずれにしろ,生涯学習の拠点という考え方,社会教育施設ではなくなっていいのだということを前提としておやりになろうということであるのか,ここが本当に理解できないので,改めて,再度の質問は,公民館の設置について,地方自治法第244条の2に基づく公の施設であると−−大変皆さん御心配なさっているようですから,水戸市に平須集会所条例というのがございます。この条例は地方自治法第244条の2第1項の規定に基づき,集会所の設置及び管理について必要な事項を定めるものとすると,この公民館と同じ位置づけに,今度水戸市の公民館が今なろうとしている。要するに,集会所として位置づけようということに法的位置づけは変わるわけです。そのことがどういうことなのかということをきちっと理解をされた上で進めているのか,改めて執行部に,その法的位置づけが変わることについて,何が変わるのか,どこがどう変わるのかということを明確にお答えいただきたいと思います。
それから,それぞれのお出しになっている資料について,公民館,社会教育施設を両方,社会教育法による施設とそれから地方自治法による施設,こういうことで両方の条例でカバーしている施設はたくさんございます。それから,1本の条例の中に2つの法律を位置づけているものもあります。あくまで今の集会所と同じような形で,単なる公の施設に切りかえたものというのは極めて少ないという実情を踏まえ,また,中央教育審議会の答申で,これも御自分たちで出された資料に宮崎県の……
〔発言する者あり〕
◆17番(野村眞実君) まだ時間がございますので,ちょっと資料を−−宮崎県の日向市という市がございます。これはこの一番下に,平成18年に実は首長部局,市長部局へ移して,平成21年には教育委員会に戻っているわけです,ここは。ここに連絡取ってみましたら,平成18年2月に合併があって,それに合わせて機構改革,行政改革の流れで市長部局に一回移しました。その後,平成20年2月19日に,中央教育審議会,ここの答申を受けてみた結果,やっぱり教育委員会で進めないとだめだということで,ここは既に2年間で戻っているわけです。
さらに,見ましたら,改めて全国のほうに問い合わせをして確認しましたら,大分県の日田市でも移行した後,現実に生涯学習の推進が全くままならないということで元に戻す形でやっておられ,北海道の滝川市,こちらも一度市民センターに移したものを,また元に戻しているというのが事例として出ているわけであります。
こういうことをしっかり執行部はわかった上でやったのかどうか。資料を出しているわけですから,この資料の中身が,再三言っている社会教育施設から外すことについてどうなのだという問題提起をしているわけですから,その社会教育施設から単なる公の施設という地方自治法上の施設に切りかえることについて十分あずかり知って,また全国に例がない,生涯学習都市を宣言したまちでは全く一例もないということをわかった上でおやりになっているのか,改めて確認をさせていただいて,再度の質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。
答弁
◎市民環境部長(戸村洋二郎君) 野村議員の再度の御質問にお答えいたします。先ほど多くの都市の事例を挙げていただきましたが,それらにつきましては,それぞれの都市がその都市の理念に基づいて施設の位置づけをしているものと考えてございます。
次に,本市の考え方でございますが,さきの答弁でも述べましたように,地域の課題や現代的課題の解決に向け,生涯学習によって学んだ成果を地域コミュニティ活動として実践していくという一連の流れを体系化し,市民にわかりやすくすると同時に,市民サービスの向上を目指すために今回の提案をしているものでございますので,ぜひ御理解をいただきたいと存じます。