平成18年3月定例会
野村まこと(眞実)の一般質問と答弁の全文です。
前文
◆18番(野村眞実君) 私は,葵政友会の野村眞実であります。今定例会から,議員の質問時間について,新たに会派による持ち時間制が導入されることになりましたが,東京,横浜と並んで明治22年に市制施行という歴史のもとに,以来,先輩たちが築いてきた英知の結集により,全議員の賛同のもとで申し合わせてきた議員1人当たりの持ち時間制を,他に方法がありながら,賛成多数のもとに,事実上制限するという決定を下してしまったことは,まことに残念に思うところであります。
行政のチェック機関である地方議会においての質問は,権利であると同時に,私たち議員に課せられた責務であると私は考えます。みずからその権利であり責務を放棄するようなことにもつながりかねない今回の決定は,何をか言わんやであります。
議会は,数であります。したがって,すべてのことが多数の意見で決定されることは,今さら申し上げるまでもないことでございますが,せめて少数の意見を述べる機会は奪うべきではなく,意見として拝聴するくらいの寛容さをも失ってしまうのかと思うと残念であり,大きな損失であると思わざるを得ないのであります。
質問時間の会派持ち時間制導入に当たっての所見を以上申し上げまして,ただいまから,平成18年第1回定例会に当たり,葵政友会を代表しての質問を行います。 代表質問
最初は,市長の政治姿勢についての質問であります。
加藤市長は,今定例会の冒頭に,22ページにも及ぶ平成18年度を 迎えるに当たっての市政運営に関する所信を力説されました。市長就任以来の3年間を振り返ってみるとき,積み残しとなっていた行政の諸課題に就任早々真正面から取り組み,一定の成果を上げており,非難承知で,市民に水戸市の置かれている状況の理解と協力を求め,説明責任を果たそうとしております。18年度の予算編成においては,厳しい財政事情の中でも,ソフトを中心とした37の新規事業を打ち出しており,その姿勢を評価するところであります。
そこで質問ですが,所信の中で,まず,財政問題について,国の構造改革の影響から,緊縮財政の中での行政運営は大きな転換を求められているのでありますと所見を述べられております。私も全く同感に思うのであり,もはや行政需要に合わせた抜本的な組織機構の改変が必要であり,ゼロシーリングでの予算編成を行うといったような思い切った手法をとられる時期に来ているのではと考えるのでありますが,このような状況下にある中で,市長が執行されようとしている行政運営は,これまでのものとどこが違うのか,見解をお伺いいたします。
また,健全な財政基盤を構築するために,さらなる行財政改革が急務ととらえ,受益者負担の適正化の名のもとに諸施策を推進されております。そのことにより,結果として,すべからく使用料や手数料が値上げされることになり,そのことを議決している私どもも,ともども大変苦しい立場に置かれているわけですが,非難を承知で市民に負担を求めるのであれば,当然,市当局や私ども議会みずからの改革こそ推進しなければならないはずであります。
そのためには,水戸市新行財政改革大綱実施計画に基づく行財政改革の推進こそが重要であることは,今さら申し上げるまでもないことであります。行政のチェック機関である議会に設置されていた行政改革及び政治倫理等に関する調査特別委員会は調査を終了し,新たな設置のめども立たないままであり,残念に思うのであります。
そのような思いの中にあるとき,使用料や手数料を値上げしておきながら,市斎場を初めとした,築年数が経過し老朽化が進んでいる施設の改修は一向に進んでおらず,せめて−−これは斎場のトイレを見られた市民の方から言われたんですが,トイレとか照明,水まわり等の設備くらいは早急に手を入れるべきじゃないかと,民間では考えられないお役所仕事だねというふうな酷評を受け,耳が痛いところでありますが,ここでは早急な改善を求めることにとどめておき,今回は行財政改革について,特に次の諸施策の進捗と未達成のものについての見解をあわせてお伺いするところであります。
市債発行限度額や減債基金積立などの公債費管理については,一定基準のもとに行われているはずですが,どのような基準をつくられているのか。
17年度までの目標であった起債制限比率の13%以下は達成されたのか。市債残高と傾向はどのようになっているのか。
新たな公債費負担適正化計画は策定されたのか。
水戸市公共工事コスト縮減施策推進会議の活用による公共工事のコスト縮減の徹底のための施策の進捗について。
5点目は,効率的な消防行政展開のための2署8出張所体制の見直し再編の進捗状況について。
水戸市幼児教育の振興に関するプログラムの策定による適正配置と規模による運営の進捗状況について。
外郭団体改革推進計画に基づく各団体の経営改善計画の策定による改革改善の進捗状況について。
平成14年度から18年度までに90人,平成21年度までに150人の削減を目指している市職員定数適正化計画の確実な実行の進捗状況について。
プロジェクトメンバーの庁内公募制度の導入の進捗状況について。
10番目は,窓口オンラインシステムの見直し及び再構築と窓口カウンターの総合受付窓口を設ける等の改善の進捗状況について。
各部の裁量権の範囲やレベルに合わせるといった,従来の各課ごとの対応でない新たな予算編成の手法の導入の進捗状況について。
新たな事務事業民間等委託化計画の策定に基づく民間委託化の推進の進捗状況について。
かねてより私の持論でありました,施設や事業設置等の目的を持ったミニ市場公募債の発行の導入による,市債の資金調達の多様化と安定的消化の確保策について。
第三者で構成する行政評価委員会の評価結果に基づく事務事業の統廃合や改善等の進捗状況について。
15番目は,現在も個別では制度化がされている外部監査制度についてでありますが,市民からの要求や市長みずからの指示がないため,有名無実となっていて事例がないようでありますが,茨城県においては公認会計士などの専門家による包括外部監査制度が導入されており,大変な効果を上げているわけですので,水戸市でも早急に包括を視野に入れて導入すべきと考えますが,進捗状況について。
中長期的な財政計画の見直しを行い,市民へ公表することについての進捗状況について。
バランスシート及び行政コスト計算書の作成による市の財政状態の市民への公表の進捗状況について。
数々の改定をしてきた入札制度においては,一般競争入札でありながら,最近も談合の情報が後を絶たず,内部の情報管理の強化等のさらなる追加策が急務と考えますが,低入札価格調査制度への移行及び談合情報対応マニュアルの活用による談合防止策の進捗状況について。
新たな工事等の成績評定の基準の策定とそれに基づく工事成績の市民への公表の進捗状況について。
以上,19の項目について,行財政改革について,それぞれ簡潔に御答弁を求めます。
次に,市長は,水戸の魅力の再構築のために,あらゆる資源,財産を総点検し,積極的に活用を図る,また,水戸駅南口周辺地区については,県都の新たなシンボル空間の創出を目指し,土地区画整理事業及び拠点施設整備を促進すると述べられておりますが,そのような中で,かねてより再開発等の可能性を模索すべきと提案させていただいておりました。にもかかわらず,昨今,水戸駅北口の黄門神社横の茨交ツーリストの旧社屋跡地が,東京の民間不動産業者に売却され,マンションが建設されてしまうことや,都市再生機構の水戸駅南口のペデストリアンデッキに接続する一等地が現在公売中となっておりますが,そのような中で,これも恐らく東京の不動産業者に購入されてしまい,マンションが建築されることになるのではと無念な思いを抱いているところでありますが,まちづくりの観点から見ても,このような水戸市民の財産となるような重要な施策のかなめとなり得るような土地でありながら取得しようとしないのは,決断力のある加藤市長だけに残念に思うのでありますが,これは過ぎたことでありますから,今後について同様の要素の物件があらわれたときには,ぜひとも英断をしていただくよう求め,加藤市長の見解をお伺いいたします。
4点目の質問であります。
元気なまちに欠かせないのが若者であり,そのためには若者の視点からも求める必要があると痛感,茨城大学や常磐大学との包括的な連携協力協定を締結した,学生の持つエネルギーと大学の持つ英知を今後のまちづくりや人づくりなどの分野に生かしていきたいと述べられており,最近では,中心市街地の泉町1丁目にキャンパスの一部を移設したリリー造形芸術専門学校と商工会議所や建築士会が協働してまちづくりのプランに取り組んでいるというすばらしい事例が身近にありますが,具体的には各大学とどのような手法で若者の視点をまちづくりの施策に取り入れようとされているのか,お伺いをいたします。
次に,市民センターについての質問であります。
市民主体の地域づくりのために,新たに市民センターを全公民館に併設し,コミュニティ活動を積極的に支援し,市民が主体となった地域づくりを目指すとしておられますが,岡田前市長の提案で行ってきた,平成8年,各公民館にコミュニティ担当職員を配置してきた地域コミュニティ活動推進事業とどのように違い,どのようなシステムにされようとしているのか。従前の事業をしっかりと検証した上で,庁内には専門職員によるバックアップのためのチームを編成するなどして対応されないと,何ら今までと変わらない,余り意味のないものとなってしまう可能性があると心配するところでありますが,見解をお伺いするところであります。 次は,中心市街地の活性化についてでありますが,岡田前市長時代の平成9年に活性化計画を策定,平成11年には活性化基本計画を策定,活性化推進室を設置という具合に,これまで計画を策定したり組織機構を改廃したりしてきながら有効打が打てずにきましたが,このたびの所信で市長は,まちの顔である中心市街地の再生に向けて,活性化基本計画の改定を進めていくこととしております。これから補完しなければならないことは,これまでも提案してきた幾つかのきめの細かいソフト面の施策を展開していき,開発や整備されつつある拠点間を,点から線,面でつなげる施策が重要であると考えますが,改定に当たっての現計画との違いの骨子をお伺いいたします。
次は,福祉行政についてであります。
加藤市政になり,少子対策のための種々の施策を打ち出し,子ども課を創設されることは一応の評価をしておりますが,問題は中身であります。そういった意味で申し上げたいことはたくさんありますが,恐らく(仮称)子育て支援・多世代交流センターの開設にあわせて抜本的な改革を行い,充実強化策をとられるものと思われますので,本件はもう少し経過を見ることとして,今回は,4月から施行となる介護保険法の改正と障害者自立支援法の制定に伴う質問に絞って質問をさせていただきます。
まずは,介護保険法の改定ですが,一段と市町村の役割がふえてくる中で,新たにスタートする地域包括支援センターを市が直営で行うことは評価をするところであります。
高齢者の福祉は幅が広く,健康管理や予防から要介護の対応に至るまで多岐にわたっており,担当する行政組織も高齢福祉課,介護保険課,さらには保健センター,国保年金課等というように分かれているのは御承知のとおりですが,各課の連携による効率,効果的な執行体制が特に求められるところであると考えます。そのためにも,この際,参事級の職員を配置した室のような組織にまとめる必要があると考えますが,見解をお伺いいたします。
また,地域包括支援センターは,おおむね1中学校区に1カ所の割合で,2年をかけて設置される計画ですが,将来においては,これまでの役割を終えた既存の在宅介護支援センターの中で,ケアマネジャーが自分の所属する施設のサービスを進めるための営業スタッフ的になってしまっているとの問題が指摘されるような支援センターは除くとしても,これまで培ってきた既存の支援センターの機能を活用した委託等も視野に入れた地域包括支援センターの展開が必要と考えるのでありますが,構想と御見解をお伺いいたします。
次は,障害者自立支援法の制定に伴う質問であります。
4月から利用者は,食費に加え利用料の1割負担が義務づけられ,新設される障害程度区分審査会による6段階の区分判定業務であったり,10月からは身体,知的,精神の障害の垣根が取り除かれ,5年間の中で施設の形態が分類されるなど,抜本的な制度改正がなされるわけでありますが,利用者はもとより,家族や福祉の現場や担当する行政の戸惑いははかり知れないものがあり,胸中を察するところであります。
今回の法改正に伴い,水戸市では小規模作業所等の通所者への食費等の障害者への補助が廃止されることなど,弱者への配慮が欠けているとの指摘もあり,申しわけない気持ちでありますが,要望をしてまいりました在宅の障害者の方々へのおむつ等の介護用品の支給であったり,そのほかにもグループホームへの助成等,水戸市独自の施策が新たに制度化をされることもあり,あくまで現時点での財政状況下においてはやむを得ないものと判断をしているところであります。
今回の法改正は,支援費制度の導入時を上回るほどの行政の対応が求められると言われている中で,施策へ向けての組織体制と人員配置の充実強化が急務と考えますが,どのような組織体制で対応されようとしているのか。
また,水戸市の行政が担当することになる障害を持たれた利用者はそれぞれ何人くらいを想定されているのかをあわせてお伺いいたします。
利用者の不安を少しでも取り除き,混乱を避けるためにも,一刻も早い周知が必要であり,利用者のみならず,家族や施設担当者のための相談窓口の設置も必要と考えますが,どのような形で説明責任を果たされようとしているのか,お伺いいたします。
6段階の区分判定については,106項目について専門家が判断するとのことでありますが,個々の障害の状況に微妙な違いがある上に,重複した障害もあり,高齢者の要介護認定とは比べものにもならず,対応はかなり難しいと言われております。それらを踏まえたとき,審査に当たる委員の人選を含め,相当慎重な対応が必要であると考えるのでありますが,御見解をお伺いいたします。
8点目は,ごみの有料化に伴う諸問題についてという通告をいたしました。
財政難であり,かつ受益者負担の原則という時代の流れもあり,ごみの有料化が導入され,市民との協働でスタートが切れるのは評価するところであり,特にこのたびの公募に応募されて委嘱を受けられた1,650人にも上る美化推進員の方々には頭の下がる思いであります。
前回までの定例会でも質問をさせていただきましたが,その時点では検討中との答弁でありましたので,改めて答弁を求めるものであります。
1点目は,町内会,自治会等で行っている一斉清掃などにより回収された廃棄物については,無料回収へ向けて検討すると答弁をいただいておりますが,回収方法等を含めた検討結果をお伺いいたします。
2点目は,市民が負担したごみ処理手数料は,将来のごみ処理施設整備に備えた基金を創設し,ごみの減量及び再資源化に向けた新たな施策や市民サービスの向上施策の実施などに充当する方向で検討中であり,今回の議案にも,一般廃棄物処理推進基金の設置のための条例が提出されておりますが,その後の進捗と収入の使途内訳をお伺いするところであります。
また,経済的弱者の方々の対策についても,検討結果を伺います。
4点目は,ごみ袋の販売店が公募され,決定され,市報で明らかにされましたが,そこで販売店の追加拡充策が急務であると考えるところであります。製造元から販売店までの流通のシステムとそれぞれの単価,仕入れ方法等の実情にあわせ,御見解をお伺いいたします。
最後は,教育行政についての質問でありますが,水戸らしい教育の充実推進策についてという通告をさせていただきました。
第18回全国生涯学習フェスティバルまなびピアが本年,水戸で開催されることもあり,社会教育を含めた生涯学習活動については,多様な事業を展開しながら充実に向けて取り組まれているようで,評価するところでありますが,三つ子の魂百までもと言われるように,乳幼児から小中学生までの間の教育が人格形成においても極めて重要であることは,加藤市長も先ほど述べられていたとおり,言うまでもないことであります。
加藤市長の所信の中には,「幼・小・中英会話教育を初め,郷土に対する理解を深め,子供たちの郷土を愛する心をはぐくむ教育など,水戸らしい教育を推進してまいります」とあり,共感するところであります。
昨今の大人社会を見ると,その時々に理屈とこう薬をつけ,自分の都合に合わせて公平公正を堂々と使い分けているという,将来を担う子供たちには見せたくないような恥ずべき光景を目にしますが,私は,天下の先駆けと呼ばれ,天下国家に思いを馳せ,大義と正義を重んじ,数々の改革へ命を懸けてきた先駆けの志士たちを輩出してきた水戸学であり,弘道館を有しているということ,それと民のために考えてつくられた世界初の公園である偕楽園を有している水戸にふさわしい,高い理想と正義感を,さらには倫理観を持ち,かつ人の痛みを自分のものとしてとらえられるような人物像を目指した教育が,あわせて必要と考えるものでありますが,水戸の教育現場の最高責任者である鯨岡教育長に,新年度を迎えるに当たっての所信と決意をお伺いするところであります。
以上で,加藤市長と鯨岡教育長の簡潔明瞭な答弁を求めまして,第1回の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
答弁
◎市長(加藤浩一君) 葵政友会を代表されましての野村議員の御質問にお答えをいたすものでございます。初めに,市長の政治姿勢のうち,緊縮財政の中での予算編成手法についてでありますが,国が行財政改革として進める三位一体の改革の影響により,16年度からの3年間で,本市において31億円を超える財源が減少したほか,少子・高齢化などの影響から義務的経費が年々増嵩するなど,本市の財政状況は,財源的にも構造的にも,かつてないほど厳しい状況に直面をしておるところでございます。
このため,平成18年度予算編成におきましては,従来の予算編成方式を変更し,枠配分方式を取り入れ,定例的経費の削減,それぞれを図ってまいったところでございます。歳出全般にわたり徹底した見直しを行うとともに,市債残高の抑制,歳入の確保等にさらに一層努めてまいるところでございます。
今後につきましては,三位一体の改革等,国の行財政改革の推進により,地方を取り巻く行財政環境はますます厳しくなると見込まれますので,新行財政改革大綱に基づく歳入歳出両面からの改革をさらに推進するとともに,予算編成手法につきましても創意工夫を凝らしながら,簡素で効率的な行財政運営に努めてまいりたいと考えておるところであります。
次に,行財政改革の御質問にお答えをいたします。
水戸市が50万都市構想を実現するための基礎づくりとして,健全な行財政基盤を構築するため,新行財政改革大綱に基づく改革を積極的に推進しているところであります。
この改革においては,使用料,手数料,補助金,負担金の見直しなど,市民に負担をお願いするものもありますが,職員定数の削減や特殊勤務手当ての見直し,さらには特別職の給与削減など,市みずからの行革の推進にも努めてきたところでございます。
全体の実施状況につきましては,平成18年1月現在におきまして,全68項目中7割に当たる47の項目につきましては,改革の実施を図り,経費効果を上げるなど一定の成果を上げているところでございます。
御質問のあった項目の進捗状況でございますが,職員定数におきましては,平成16年度から20年度までの各年度において,おおむね30人以上の削減目標に対し,この3年間で実質101人の職員定数の削減を行い,義務的経費である人件費の削減に努めてまいりました。
事務事業の民間委託につきましては,出張所及び連絡所の広報紙等の配布事務や高齢福祉バスの運行業務など,計画的に委託化を進めておりまして,今後とも,公の施設の管理について,指定管理者制度への移行など,民間活力の活用に努めてまいりたいと考えています。
行政評価による事務事業の見直しについては,第三者で構成をする行政評価委員会の評価方式を取り入れ,これまで222の事務事業の評価を行った結果,テレホンガイド事業や交通安全推進員制度の見直しなど168の事務事業について,廃止,統合,休止,見直しの方向性が示され,その結果を踏まえた改革,改善を行ってきたところであります。
このほか,外郭団体改革推進計画に基づく団体の経営改善の取り組みや,公認会計士など外部の専門家による外部監査制度の導入,さらには,園児数の少ない幼稚園の園児募集の見直しなどを計画的に進めているところでございます。
次に,公共工事の実施に当たりましては,工事の手法や材料の見直しなどによるコスト縮減を図るとともに,一般競争入札の対象金額の引き下げや低入札価格調査制度への移行など,透明性のある制度へ向けた改善に努めておるところであります。
さらに,公債費負担適正化計画の見直しによる起債制限比率の改善,予算編成に当たっての枠配分方式の導入,ミニ市場公募債の発行など,おおむね順調に改革の実施が図られており,一定の成果を上げているものと認識をいたしておりますが,いずれにいたしましても,議員御指摘のとおり,今後も積極的に行財政改革に取り組み,プロジェクトメンバーの庁内公募制度の導入など,現在検討中のものも含め,できるだけ早期に目標とする改革を達成できるよう,職員一丸となって取り組んでまいる所存でございます。
次に,水戸の魅力の再構築に係る資源,財産の活用についての御質問にお答えをいたします。
私は,所信でも申し述べましたとおり,県都である水戸をさらに発展させていくためには,水戸ならではの個性を高め,新たな魅力を創出してまいりたいと考えている次第であります。
そして,自然や歴史,文化など,水戸の持つあらゆる資源,財産を総点検し,積極的に活用を図り,全国へと発信できるような水戸の魅力を再構築してまいる所存であります。
そのため,中心市街地の活性化に向けた交流拠点の形成や,千波湖,偕楽園周辺において魅力創出に向けた施設整備等を進めており,その中で,千波公園西の谷のアクセス向上を図るための公園区域の拡大なども新たに取り組んでいるところでございます。
私は,水戸の魅力,それらを高め,元気な都市を構築していくためには,行政だけの取り組みということではなくて,市民,あるいは事業者の協力が欠かせないものだと思っております。活性化に向けた再開発など,民間の力が求められるものは,その活用を図ってまいりたいと考えておるところであります。
そして,行政の果たす役割については,厳しい財政状況の中であっても,施策の優先性や効果を精査しながら,水戸の魅力を高めていくことに有効なものについては,今後とも,積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に,学・官連携についての御質問にお答えをいたします。
学生の持つエネルギーと大学の持つ英知を各種施策に生かすため,昨年10月に茨城大学,常磐大学と包括的な連携協力協定を締結いたしたところであります。
大学教職員の専門知識を活用するだけではなく,学生自身にも実習や現地調査で町中に出てもらい,地域社会の人々と触れ合いながら,さまざまな形でまちづくりに直接かかわってもらうことにより,水戸への愛着を育てるとともに,にぎわいの創出につなげていきたいと考えております。
今後は,水戸のまちの魅力づくりを具体的テーマとして,水戸で学生生活を送った若者が水戸を愛するリピーターとなり得るよう,にぎわいの創出に向けた調査を進め,若者,学生の視点から提案をしていただき,まちづくりに生かしていきたいと考えておるところであります。
次に,市民センターについてお答えをいたします。
今,国におきましては,国から地方へ,官から民へという流れの中で,市政においても,厳しい財政状況や限られた人材の中で多くの課題を解決し,「元気都市・水戸」を実現していくためには,地域の力を集約し,市民との協働による市政の運営が最も有効な方向であると考えております。やはり地域のことは地域が一番よく知っているということであります。
そのために,市民の自主的なまちづくり活動等への参画が極めて重要であり,これまでも各公民館へ地域コミュニティ活動を推進する担当職員を計画的に配置し,地域活動組織の自主性を育成してまいったところであります。
しかしながら,従来のその形は,言うならば連絡所は証明書の発行ということで,いわゆる市民へのサービスというそのものに尽きたような気もいたしますので,今後は,今申し上げましたように,地域ではボランティアがあり,あるいは福祉があり,福祉協議会があり,防犯の協力体制があり,町内会,子ども会の育成があり,あるいは健全な育成を図らなければならない,町内会の仕事もしなければならない,同時に生涯学習を図っていかなければならないという総合的な働きが地域にあってしかるべきだと,このように考えておるわけであります。
したがいまして,このたびの市民センターの設置については,このような基本的な考え方をさらに推進するため,その組織の確立を図るものであって,まさに市民と行政が協働へと進む大きな一歩として位置づけているものであります。
これからもなお一層,公民館において生涯学習の推進,こういうことは一つの柱ではあるけれども,新たに市民センターでは,高齢者の健康増進,子育て支援,多世代交流など,地域の特性と独自性による多くの活動を実践していただくことによって,市民主体のコミュニティ組織の充実を図り,地域が自主的に地域の諸問題に対応できる力を備えていくことができればと考えておるところであります。
したがいまして,将来においては,各地区のコミュニティ組織が市民センターを拠点として,地域の実情を最も把握している市民の皆様が,地域の課題をみずからの力,そして行政の力とともに解決できるような組織となることを目指してまいりたいと考えておるところでございます。
次に,中心市街地活性化基本計画の改定につきましては,国において見直しが進められておりましたまちづくり三法につきまして,中心市街地活性化法,都市計画法の一部を改正する法律案が国会に提出をされ,現在,審議が行われておるところでございます。
このうち,中心市街地活性化法につきましては,市町村が作成する基本計画の内閣総理大臣による認定制度を創設し,多様な都市機能の増進と商業等の活性化に意欲的に取り組む市町村を重点的に支援する仕組みに改正するなどが,その内容となっておるところでございます。
本市におきましては,平成11年3月策定の中心市街地活性化基本計画に基づき,各種施策を推進し,活性化に努めてきたところでありますが,策定から7年を経過し,この間にもダイエー水戸店の営業終了,郊外型大規模小売店舗の立地など,中心市街地内外の商業環境というものが著しく変わりましたので,そうした社会情勢が変化した中で,さらには,今後,国の支援措置が認定を受けた基本計画に基づく事業に対するものとなることから,基本計画の改定に取り組むものとなったわけでございます。
新たな基本計画につきましては,法律の施行後,国において中心市街地活性化本部を設置し,基本方針を作成することとなっておりますので,御指摘のソフト面の施策も含め,この基本方針を十分に踏まえるとともに,現行の基本計画に基づく事業の効果を高めるものとなるよう,整合性を図りながら,改定作業を進めてまいりたいと考えておるところであります。
次に,福祉行政についてお答えをいたします。
地域支援センターにつきましては,介護保険法の改正に伴い,来年度より高齢福祉課内に新たな組織として地域支援センターを設置してまいりますが,主任ケアマネジャーや社会福祉士など専門職を配置し,効果的な地域支援事業を推進してまいります。
議員御指摘のように,高齢者の福祉施策は幅が広く,その事業は高齢福祉課,介護保険課,保健センターなど保健福祉部関係各課にまたがることから,部内組織の横断的な連携を一層図りながら,円滑な事業の推進に努めていかなければなりません。
また,地域包括支援センターの運営につきましては,平成18年度に直営型1カ所を,市内全域を対象に開始をいたしますが,これまでの在宅介護支援センターを整理再編した上で,各日常生活圏域に窓口機能として設置をし,連携体制を構築してまいりたいと考えています。
さらに,平成19年度以降につきましては,今後,国から示されます予定の受託者の範囲や民間事業者の受託意向など状況を踏まえながら,段階的に民間活力の導入,これらを検討してまいりたいと考えています。
次に,障害者自立支援法についてお答えをいたします。
まず,障害者自立支援法施行に伴う事務量に対応した執行体制につきましては,事務処理に支障を来さないよう,適正な組織体制の整備,職員の配置,これらに努めてまいります。
次に,市が担当することとなる福祉サービスの利用者数につきましては,平成18年2月28日現在,身体障害者332名,知的障害者519名,精神障害者60名,障害児114名,合計1,025名でありますが,今後,新たにサービス利用者の増加が見込まれるところであります。
次に,周知や相談につきましては,これまで福祉サービスを受けている方への個別通知を行ったほか,広報「みと」による周知や,障害者団体,障害者福祉施設,養護学校などにおける説明会及び相談会の開催も障害福祉課で随時行っているところであり,今後とも十分な対応に努めてまいる所存であります。
次に,障害程度区分審査会についてでありますが,審査会の委員といたしましては,医師,社会福祉士,精神保健福祉士など,障害者等の保健や福祉に関する学識経験を有する方を選出するとともに,必要に応じて障害者当事者や関係者の意見表明の機会を確保し,適正な障害程度区分の判定に努めてまいりたいと考えています。
次に,ごみの有料化に伴う質問についてでございます。
まず初めに,町内会,自治会等で行っている一斉清掃に伴うごみにつきましては,別途作成するボランティア専用袋などで無料回収をしてまいります。
次に,市民の皆さんに御負担をいただいたごみ処理手数料につきましては,懸案でありました祝日のごみ収集を初めとして,常澄地区における集積所での資源物回収,集団資源物回収品目にペットボトルを追加するとともに,報償金単価の引き上げやペットボトルの拠点回収箇所の増設を図ってまいります。さらに,生ごみ処理機購入費補助金の限度額引き上げや,不法投棄防止対策としてのカメラ設置による監視の強化に努めてまいります。あわせて,将来のごみ処理施設整備等々を含めた,ごみ処理施策の円滑な推進に努めるための基金を創設することで,本定例会に関係条例を提出いたしておるところでございます。
有料化に伴う経済的な弱者対策としては,生活保護世帯を対象に減免措置を講じてまいりたいと考えております。
なお,指定袋等の取扱店は,2月末現在で270店舗でございますが,地域によりましてはもともと店舗数が少ない地域もございますので,引き続き公募を継続して,市民の利便に供してまいりたいと,かように考えておるところでございますので,御答弁とさせていただきます。
ありがとうございました。 ◎教育長(鯨岡武君) 野村議員の代表質問のうち,水戸らしい教育の充実推進策についてお答えします。
水戸らしい教育を推進することにつきましては,先人が築いてきた先見性,実践性,広い視野を持つ教育を現代の教育に生かしていくことが重要であると考えております。
まず,先人の思いを受け継ぎ,全国に先駆けて国際社会に対応できる人材の育成を目指し,一昨年から実施しております英会話教育につきましては,将来の実りある成果が期待されておるところでございます。幼稚園,小中学校教職員間の相互理解を図りながら研究を進め,幼稚園から中学校まで一貫した教育をより一層推進してまいります。
また,学力向上の推進に向け,その他の教科,領域におきましても,小中学校間で連携した教育並びに一貫の教育のさらなる拡充を図ってまいります。 次は,学習面と生活面の基礎,基本の徹底を図ることでございますが,児童,生徒にとって基礎,基本をしっかり身につけることは,自立した個人として,変化の激しい社会を心豊かにたくましく生き抜いていくため,極めて大切なことと受けとめております。学習面で基礎,基本の徹底を図り,確かな学力を身につけること,社会人として生活の決まりを守り,美しい日本語の言葉遣いができるようにすることなど,生活面を含めた基礎,基本を育て,市民として郷土・水戸を愛する心や正しい生き方をしっかりと教えていきたいと考えております。
さらに,幼児教育につきましては,幼稚園の保育内容の改善や預かり保育の充実,幼稚園と保育所との連携など,就学前の教育,保育の一層の充実を図ってまいります。
今後におきましても,真心を尽くす,郷土を愛する,気品を備える子供たちを育成するため,本市の教育目標である「知性にとみ,心身ともに健全な風格をそなえた水戸人の形成につとめる」ことを目指してまいります。
再質問
◆18番(野村眞実) ただいま市長より,また教育長から簡潔明瞭,真摯な御答弁をいただきました。市長に質問させていただいた行政改革の中では,多分に最後に,計画に基づいて,満たせるものについては着実に進めていくという形の意思表示がございましたので,具体的に幾つか挙げたものについては触れていない答弁もあったかと思われますが,それは最後の言葉の中に含まれているものというふうに解釈をさせていただきますので,特にその中で,バランスシートの作成はなさっていると思うのですが,これはできるだけ早いうちにやっぱり公開をしていただいて,また,英知を寄せてもらえるような機会をつくって欲しいということと,それから,監査制度について申し上げましたけれども,もともと,前段,中庭議員の質問の中で,監査制度についての指摘がありました。あのときは,わからないような巧妙であったんだと思うんですけど,もしあの時点で市は努力をして問題が指摘されていれば,多分是正をされるなり補助金返還なりがあって,そこで今回のような司直の手にゆだねるようなことはなくて済んだのかなというふうにもちょっと実は懸念しているところでありまして,そういう意味では,外部監査制度の包括的な導入についてもぜひ御検討をしながら進めていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
それから,教育長から,非常に相通ずるような教育についての考え方を述べていただきました。特に,それにあえてつけ加えて申し上げれば,どうしても個の存在を重んじるばかりに,自分のことは自分の責任でやりなさいと,家庭でも自分のことは自分でということを言い過ぎるがために,自分だけきちっと達成できれば,その周りの級友であったり,一緒に縁のある人たちの行動については別に何にも感じないんだと,こういうような子供たちがふえている状況を常々憂いているところでありますので,ぜひその辺についても今後の教育の中で取り組んでいっていただくよう,あわせて要望いたしまして,再度の登壇といたします。
ありがとうございました。